日本とドイツの戦後処理の違い
ドイツの戦後処理がどの様なものであったのか、
まとめてみると、一般的にイメージされているものとかなり実態は違う様である。
1、ドイツの戦後処理
a,周辺国との戦争ー>公式謝罪&賠償無し。
b,戦争犯罪ー>謝罪も賠償も無し。
c,植民地支配ー>謝罪も賠償も無し。
d,ユダヤ人迫害という内政問題ー>謝罪と補償。
※補償は「イスラエル入植の為の人道支援」という形。
2、ドイツの歴史観。
ニュンルンベルグ裁判は全面否定。
ポーランドのドイツ人追放を批判でお互いおあいことする。
ドイツ軍は国家元首であるヒトラーに従っただけであり、
戦争に関する責任はない(軍部には責任無し)
ナチス時代の英雄リュッチェンス、メルダース、ロンメルは
駆逐艦の名称になっており、
(日本で言えば、自衛艦に山本五十六と名づける様な感じ)
現在のドイツ軍の多数の施設にナチス時代の著名な軍人の
名前が冠されている。
ドイツが反省しているのは、
大戦とは直接関係ないユダヤ民族浄化政策だけであり、
戦争その物に関する歴代首相の認識は、
「お互い様だよ」という開き直り的な態度であるが、
国際的に孤立もしていないし、隣国から謝罪や賠償を
何度も要求される事もない。
(債権問題を摩り替えようとしているギリシャを除いて)
ドイツの戦後処理は、東西分断により日本程の丁重な処理で
ないという部分を差し引いても、
上記の事実を日本に当てはめたら、大問題になる事は間違いない。
日本で東京裁判を否定したり、戦艦に旧日本軍の将軍の名前を
冠すれば、「軍国主義の復活!」「歴史修正主義!」だと
散々に批判されるだろう。
そういった意味で、日本の大戦に関する歴史認識は、
かなり謙虚と言える。
1、アデナウアー元首相は52年に、
全ドイツ軍人の名誉回復宣言を行っている。
2、ヴァイツゼッカー元大統領はA級戦犯になった父の
裁判に関して、「全くバカげている」と言っている。
3、ドイツ軍の戦艦や施設にナチス時代の著名な
軍人の名前が冠されている。
4、ワルシャワ謝罪で有名なブラント元首相は、
ユダヤ人に謝罪しただけで、
ポーランドのドイツ人追放は決して許されないと
むしろ周辺国を批判している。
この様なドイツの歴史認識であるが、いわゆる戦勝国や周辺国との
関係は上手く行っている。
ドイツを見習え論の間違い
1990年代になると「戦争犯罪を誠実に反省しているドイツ」という認識が広まり
朝日新聞などのマスコミで「ドイツに見習え」という主張が広く唱えられていた。
しかし、このような言説は2000年代後半からはマスコミからはほとんど姿を消している。
又、金ヨンサム大統領が欧州訪問の際に、「日本はドイツを見習うべきだ」と批判したら、
ポーランド等の周辺諸国から「ドイツは我々に謝罪をしていない」と逆に批判された。